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シャープ三重工場のマスク量産はなぜ迅速に実現したのか

こんにちは。㈱Ray of lightの木村です。勇気づけられる記事を見つけたのでご紹介します。

この反射神経には学ぶべき点があるー
シャープは3月24日、三重工場(三重県多気町)でマスクの量産を開始した。元液晶工場のクリーンルームで作るマスクは政府が買い上げ、新型コロナウイルスの感染拡大でマスクが不足している施設などに配布する。

カラー液晶ディスプレーの生産拠点でマスク作り

 シャープの親会社である台湾、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴー)前会長の号令一下、中国子会社のフォックスコン(富士康)もマスクの量産を始めている。非常時における反射神経の良さは、日本企業も大いに学ぶべきだろう。

 シャープがマスクを作る三重工場は、建設に約400億円をかけて1995年から操業しているカラー液晶ディスプレーの生産拠点だ。パソコン、ワープロなどに使われ始めたTFT(薄膜トランジスタ)方式のカラー大型液晶ディスプレーを生産していた。シャープの液晶事業は三重工場と天理工場(奈良県天理市)で始まり、液晶テレビ「アクオス」の大ヒットを受けて、亀山工場(三重県亀山市)、堺工場(大阪府堺市)に広がっていった。

 三重工場では現在、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーション用の中小型液晶パネルを生産している。「チリ一つの侵入も許さないほどのハイスペック」

「マスクの生産を検討せよ」

 戴正呉社長の指令が飛んだのは2月中旬。戴が旗振り役になって、遊休状態だったクリーンルームにマスクの生産設備を備え付け、経産省の支援を受けて不織布など必要な資材を調達した。近く、生産装置がもう1台加わって生産能力は1日当たり20万枚になり、さらに3台追加して1日当たり50万枚の生産を目指す。液晶パネル工場のクリーンルームは「チリ一つの侵入も許さないほどのハイスペック」(シャープ関係者)で、この上なく衛生的だ。マスク生産にはうってつけだ。

 最初にマスク生産の号令をかけたのは、前会長のテリー・ゴーに違いない。ホンハイの中国子会社、フォックスコンは、すでに2月の初旬、自社用にマスクの内製を決めており、現在は龍華工場(広東省深圳)に使い捨てマスクの生産ラインを5本、医療用「N95」マスクの生産ラインを1本、設置している。3月3日に台湾で開いた投資家向け説明会で、同社はマスクの生産が400万枚に達したと発表し、マスク製造機器の内製も進めることを明らかにした。

 三重工場のマスク生産装置がホンハイ製かどうかは明らかでないが、マスク生産のノウハウはホンハイから提供されている。

80万人分の自社従業員のために……

 ホンハイはアップルのiPhoneなどを生産するハイテク・メーカーである。そのホンハイがなぜ、マスクの生産を始めたのか。それはホンハイが世界で150万人(2017年時点)という途轍もない数の従業員を抱えているからだ。中国のフォックスコンだけでも80万人。これは堺市、北九州市など日本の中規模都市に匹敵する数で、工場そのものが巨大都市と言える。中国全土で感染拡大が続く中、80万人分のマスクの調達に四苦八苦するよりは「自分たちで作った方が早い」とテリー・ゴーは判断したのだ。

 マスクが従業員に行き渡ったことで、フォックスコンはいち早く、生産再開にこぎ着けた。河南省鄭州市の工場では3月6日時点で18万人が出勤し、操業停止前の80%以上に生産を戻した。鄭州工場にもマスク生産ラインを設置し3月12日から生産を始めた。

 台湾企業のホンハイが、中国政府に「あれが足りない」「これが足りない」と甘えるわけにはいかない。「自分の身は自分で守る」という自助の精神で医療用の「N95」マスクやマスク製造装置まで作ってしまう根性は、見上げたものだ。そして自社の分が足りた後は、医療機関や高齢者施設などマスクが不足しているところに供給する。これぞ企業の社会的責任の果たし方である。シャープも政府に供給して余ったマスクについては、自社のECサイトで販売する計画だ。

いち早く市民を守ろうと立ち回ったダイエー

かつて日本でも、非常時に市民を守ろうとした企業があった。ダイエーだ。

「とにかく店を開けろ!」

 1995年1月17日、関西を襲った阪神・淡路大震災。大阪、兵庫地区に100近い店舗を展開していたダイエーの中内功会長(社長兼務)は、地震発生から3日目に現地入りし、被災者に生活必需品を提供すべく、不眠不休で陣頭指揮に当たった。

 地震直後の被災地は、飲料水、食料品が不足したが、生活物資供給源の命綱になったのが、ダイエーをはじめとするスーパー、コンビニエンスストアだった。

 ダイエーは約100店舗のうち33店舗が甚大な被害を受け、神戸市の三宮第1店は建物が数メートル沈下した。その日の朝7時、ダイエーは東京本部に災害対策本部を設置した。政府の対策会議が立ち上がるより3時間早かった。

 政府の会議が始まって30分後の午前10時30分、ダイエーでは担当専務ら幹部11人を乗せたヘリコプターが、おにぎり1000個を積んで被災地に到着した。

 ダイエーは使用可能なトラック、フェリー、ヘリを総動員し、東京、大阪、名古屋、福岡から飲料水、食料品などを被災地に大量輸送した。360人の社員が応援部隊として動員され、店舗の建物が使えないところでは、駐車場で“青空店舗”を開いた。

 阪神淡路でも、瞬間的には乾電池が1本1000円で売られ、トイレットペーパーや生理用品の買い占め、転売といった浅ましい行為が見られたが、中内・ダイエーの獅子奮迅の働きで「いつもの品がいつもの値段」で買えるようになった。

 新型コロナウイルス禍はまだ当分続きそうだ。政府に支援を仰ぐばかりでなく、今できることをやるたくましい企業の姿こそが、不安な日々を過ごす市民に大きな勇気を与えるはずだ。

文春オンラインより引用https://bunshun.jp/articles/-/36826#photo_1

危機的状況の時にこそ、なんとかできることを考え、迅速に動く。大企業だからこそできるのかもしれませんが、こういう企業は本当に強いな、と思います。
企業の社会貢献というのはこういうことなんだなと思います。

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