地位確認等請求事件

3月になりましたね。
気が付けば2月も終わり、色々と変化の大きい季節になりました。先日も卒業式終わりかと思われる花束を持った学生が多くおり、昔の自分を少し思い出しました。
企業様においても採用や退職、人事異動など色々と動きがあるかと思いますので、今回はそれにまつわる話をしたいと思います。
令和5年におきた地位確認等請求事件の裁判を基に話を進めていきたいと思います。
事件の内容としては管理職の人間が電車内で女性のスカート内を盗撮し、これが見つかり逮捕された。翌日釈放され、当人は女性に対し被害弁償をし、女性は被害届を取り下げたが、会社は管理職の人間を懲戒解雇した。というのが一連の流れになります。
これに対し懲戒解雇された側が労働契約上の権利を有する地位を確認することを求めるとともに、未払い賃金(バックペイ)を求める訴えを起こした裁判になります。
最初に結論として書くと会社側が負けることになり、懲戒解雇は無効とされ労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、会社に未払い賃金400万円弱の支払いを命じています。
ここで会社の主張を見ていきましょう。
就業規則に職務外の非違行為は刑事事件により有罪とされたものに関しては「懲戒解雇~減給」それ以外の行為により会社の信用、名誉を棄損し業務に支障をきたしたものは「減給~注意」、重大なものは「懲戒解雇~停職」とされています。これをもとに行為の悪質性や役職者という立場を考慮し、社会通念上懲戒解雇は妥当であるというのが会社側の主張でした。
しかし、実際の判決としては本件に関しては行為自体は条例違反にとどまり、法定刑も重いとはいえない。また被害者と示談をし、不起訴処分となっており有罪判決を受けたわけでもない。ということから裁判所は会社側の主張は認められず、懲戒権の乱用をしたとしをいわざるを得ない等のことから懲戒解雇は無効とし賃金の支払いを命じた。というのが、少し話端折りましたが話の流れになります。
ここで思うことは会社の判断の難しさです。
事実として間違いなく悪いのは条例違反を犯した役職者ですし、行為自体も悪質で会社にも迷惑をかけています。私の意見としても懲戒解雇もやむを得ない事案だと思います。
ただ、法廷という場において勝ったのは役職者であり、会社は負け役職者に対し400万円のバックペイを支払っているのです。
ちなみにバックペイの時効は3年です。もし訴えてくるのが3年後とかであれば、請求額はもっと増えていたのかもしれません。
一連の流れを見て会社を経営し人を雇うというのは大変だなとつくづく感じさせられる事件でした。
人の出入りが激しい季節だからこそ、このような内容を書かせていいただきましたが今一度様々なリスクがあることへの認識や対応策を講じるのも一つかもしれません。
今回は以上になります。個人的には花粉への対策もしていきたい季節です。